イランに対する経済制裁を継続、強化するアメリカ
アメリカのオバマ大統領は、他国を人権侵害で非難しています。オバマ大統領は、政治的な利益を手に入れるために、世界の多くの国民の権利を蹂躙しています。
アメリカ政府は、人類に反する措置により、制裁という名のもとで、圧制的な政策を世界の人々に押し付けています。
国際的な制裁は、実際、各国に圧力をかけるための対抗措置のひとつです。こうした中、国際的な制裁の合法性や機能については、多くの問題が提起されています。たとえば、制裁は、強大な国が、弱小国に対する際にのみ、使用することができ、その反対はあり得ません。そのため、制裁の行使は、2002年の国際違法行為に対する国家責任に基づき、条件付きとなりました。この条文の第50項では、対抗措置は、武力や武力行使の脅迫であってはならず、また、人権やそれに関する法規に違反するものであってはならないとされています。
国際違法行為に対する国家責任法に注目すると、対イラン制裁におけるアメリカの一方的な行動は、各国政府の平和共存の原則に矛盾しています。この原則では、各国の政府は、国際法の政治的な原則、つまり、法の平等、不干渉、協力と友好、独立と領土保全の尊重を守ることが義務付けられています。
この点から、アメリカによる制裁は、法的根拠に欠けるため、国際的な支持を受けていません。国際的な制裁においては、合法性、必要性、バランスといった側面、また、この制裁が民間人に及ぼす影響が特に注目される必要があります。
アメリカは、イランに対する経済制裁を継続、強化することにより、実際、イランに対する敵意を明らかにしただけでなく、イランの国民を不当な形で経済的に圧迫することで、国際法や人権の原則に違反しました。アメリカは、数か国と調整し、最も厳しい制裁をイランに加え、イランの西側に対する行動を、自分たちの目的や要求に沿ったものに変更させようとしたのです。
1979年のイランイスラム革命の勝利後、アメリカは、イランの科学的な発展を阻止しようと努めました。学術や大学に関する制裁、世界におけるイランの科学論文の出版の禁止、イランのさまざまな分野の学者や専門家の国際会議参加の妨害、特定の疾患の医薬品入手の阻止といったことが、アメリカのイランに対する人道に反する行為の例となっています。
イランに対するアメリカの制裁は、さまざまな分野で行使されました。その一部は、食料、医薬品、工業製品など、様々な非石油製品の取引に関するもので、経済面に大きな損失をもたらしただけでなく、さまざまな階層の国民や病気の患者に対しても身体的な影響をもたらしました。多くの患者が必要とする医薬品の売却の禁止は、アメリカが圧制的な制裁の行使によって、イランに対して行った人権侵害の明らかな例です。この行動は、世界レベルで多くの活動家の怒りを招きました。
医薬品産業は、世界で最も重要な産業のひとつとみなされています。なぜなら、社会の存続や健康に関係するからです。この産業は世界で一部の国に独占されており、特定疾患の医薬品の多くは、わずかな欧米の企業に独占されており、制裁によって昔から多額の費用をかけて入手されていました。
この種の制裁によって多くの損害をこうむったにもかかわらず、イランは国内の生産力を支えに、こうした制裁による問題の多くを克服することができました。がんの治療薬といった一部の分野では、イランの学者が医薬品の開発に取り組み、それに成功しました。こうして、これまで一部の国に独占されていた数種類の医薬品が開発され、この分野の自給自足に向かっています。
この他に、中央銀行や外貨取引の阻止といった金融制裁と呼ばれるものがあります。この制裁の行使もまた、イランの金融取引に大きな圧力をかけるものでした。
このほか、イランの海運や港湾に関する制裁があります。この種の制裁は、戦争の期間のみ、それも最も人道に反する形で行使されました。国際関係の歴史において、この種の制裁は、ある国が戦争の中で、相手国に食料や医薬品が届くのを阻止しようとし、相手国の港に船舶が入るのを妨げる場合にのみ、行使されています。その明らかな例は、ナチスドイツのヒトラーが、イギリスに対して行ったものがあり、人道や人権に関する機関の強い批判を受けました。現在も、シオニスト政権イスラエルが、ガザ封鎖において、またサウジアラビアがイエメン戦争において、この手段を利用しています。この種の制裁の目的は、相手国を降伏させるために、その国の国民に圧力をかけることにあります。
明らかに、アメリカによる一方的な制裁は、世界の平和や治安の強化に反するものです。また、1966年に採択された、経済的、社会的、および文化的権利に関する国際規約に違反し、各国の経済発展の権利を侵害しています。また、1995年のWTO世界貿易機関の規約にも反しています。
国連憲章、世界人権宣言、子供の権利条約などに盛り込まれている人権の国際的な基準によれば、経済制裁は、人々に苦痛や困難をもたらすことから、決して正当化することはできないとされています。
アメリカのイランに対する違法な制裁は、その内容の点から、実際、テロに非常によく似ています。なぜなら、政治的な理由により、一国の一般の国民を標的にしているからです。アメリカの外交専門誌、フォーリンポリシーでは、アメリカの制裁行使の目的は、イランの政権を交代させることにあったと何人かの専門家によって記されています。
アメリカの政治評論家、フランクリン・ラム氏は、これについて次のように語っています。
「イランに対する制裁は、政治的な目的で、イランの政権を交代させ、政府の政策に影響力を及ぼすために、イランの民間人を標的にして行使されている。この問題は、政治的な目的によって民間人を標的にするテロに非常によく似ている」
アメリカは、政治的な目的を推進するために制裁という手段を利用し、イランだけでなく、シリアなどのほかの国にも、人道に反する悲劇を引き起こしています。これについて、フランクリンラム氏は、次のように記しています。
「今年5月15日に国連傘下の各機関とNGOが発表した報告によれば、シリア国内で700万人近くが難民となっており、その半数が子供で、200万人以上のシリア人の子供たちが、病気や栄養失調、暴力の危険にさらされている。農村地帯では、20人に1人の子供が栄養失調に陥っており、14%は危険なレベルにある。シリアなどの対象国における貿易を求める人々や慈善団体への銀行サービスの停止のための、アメリカ財務省外国資産管理局の規定は、実際、救援活動に、予期していなかった深刻な影響を及ぼしている。このことは、救援活動に携わる人々、銀行関係者、ブルームバーグの専門家や議員などが認めている。アメリカ財務省外国資産管理局は、アメリカの経済制裁行使の責任を負っている」
アメリカは、シリア、ロシア、イランといった国々に圧力をかけるため、これらの国に制裁を行使しており、この流れは、合法的な慈善団体への銀行のサービス提供に新たな規定や基準が生まれる原因となっています。ブルームバーグによれば、HSBCをはじめとする多くの銀行が、ニューヨーク州と連邦政府に罰金を科されました。この銀行は、2012年、制裁法への違反により、19億ドルの罰金を科されています。
アメリカは、対シリア制裁法への違反を理由に、スタンダードチャータード、HSBCホールディングス、BNPパリバといった銀行に対し、数十億ドルの罰金を科しました。他の銀行は送金を行おうとせず、口座を閉鎖しました。昨年、世界銀行によって調査された地域や地方の銀行170行のうち、半数以上が、アメリカ財務省外国資産管理局による罰金を恐れ、シリアで協力する銀行との関係を断絶したと報告しています。
オバマ政権は、慈善団体の口座の閉鎖が問題であることを認めています。それにもかかわらず、自分たちの理不尽で非合法な利益のために、この人道に反する措置を停止しようとはしていません。その一方で、アメリカ国務省の報告の中で、他国を人権侵害で非難し、自分たちは人権の擁護者であることを主張しているのです。