6月 22, 2016 17:14 Asia/Tokyo
  • テヘラン大学の中央図書館
    テヘラン大学の中央図書館

今回はテヘラン大学の中央図書館と地球物理学研究所についてお話しすることにいたしましょう。

テヘラン大学の重要な施設のひとつに、中央図書館と資料館があります。この施設はイランの大学の中でも最大の図書館です。テヘラン大学中央図書館は、科学、技術、文学の各分野の様々な文献を所蔵しています。この図書館は専門的な学術教育の必要性により生じた学部の専門図書館と共に、主に研究活動にあてられており、イスラム学やイラン学、東洋学の研究に関する資料を所蔵しています。

 

1949年、テヘラン大学中央図書館の核となる部分が、テヘラン大学の教授が1329冊の写本を寄贈したことにより、形作られました。一方で図書館の現在の建物は、1971年秋に建設され、1974年には省庁や大学、文化協会、国内外の研究所から中央図書館に寄贈された書籍以外の出版物の収集と保管、整理を目的に図書館の資料館が開設されました。

 

図書館の面積は2万2000平方メートルです。9階建てで、地下は2階、照会者の特別部門が2階あり、書籍や出版物、資料が5階に渡って保管されています。最新の統計によれば、中央図書館と資料館には、マイクロフィルム、歴史的な写本や写真、石版印刷の書籍、卒業論文、学術文書、地図、教科書、電子資料を含む100万件以上が所蔵されています。毎日4500人以上の国内外の学生や研究員がこの施設を利用しています。

 

テヘラン大学の中央図書館と資料館は、1967年、国際図書館連盟(IFLA)に加盟しました。中央図書館には、写本や印刷本の修繕部門や、文献、論文部門、目の不自由な人向けの情報技術部門、定期刊行物部門などがあります。

テヘラン大学の中央図書館

 

書籍の修繕部門は、専門実験所、修繕工房、製本工房の3つの部門に分かれています。この部門の主な義務は、図書館に所蔵されている写本や印刷本の破損を調査し、これらの作品を修繕して保管することです。印刷物の製本もこの部門で行われており、図書館の地下にあります。

 

文献・論文部門も中央図書館と資料館の別の部門であり、その義務は、学術資料や地図、教科書、卒業論文といった一連の文書を集め、整理することとなっています。現在7万件の卒業論文と4万件の文献がこの部門に存在します。

 

視覚障害者部門も、目の不自由な人への情報を提供する目的で設けられており、点字タイプライターや点字プリンター、スキャナー、点字で書かれた書籍や雑誌、新聞などが置かれています。この他、様々なテーマの音声書籍もあります。この部門は図書館の一階にあります。

 

写本部門は、歴史的な写本や写真、石版印刷本、希少な書籍などを収集、整理し、リスト化し、保管しています。またこの部門で重要な責務は写本のマイクロフィルム化と、破損した写本や文書を修繕部門へと送ることとなっています。

 

中央図書館と資料館の定期刊行物部門では、刊行物の認定、作成、リスト化、製本などを行っています。社会のニーズに基づく出所の特定と作成は、図書館の目的となっています。ペルシャ語とラテン語の出版物は、リスト化されたあと、製本され、保管されています。この保管庫には、ペルシャ語とラテン語の数千もの雑誌が収められています。

テヘラン大学の寮

 

ここからは、テヘラン大学の学術的な地位や信用についてお話しするため、この大学の地球物理学研究所をご紹介することにいたしましょう。新しいエネルギー源の発見、鉱物、地下水の備蓄の発見、地震、火山活動、洪水、干ばつといった自然現象の予測、さらにはこれらの現象の破壊的な影響を抑える方法の発見、これらは人間にとって必要な事柄です。こうした地球物理学の発展の必要性に基づき、国際研究評議会連合と国際学術連合は1957年7月から1958年12月までを国際地球観測年とし、すべての国に、この学問の発展と推進のために世界的な協力を行うよう要請しました、テヘラン大学の地球物理学研究所も、この目的の実現に向け、1957年に開設されました。

 

テヘラン地球物理学研究所は最初、地震学、地磁気、重力測定の三つの部門で始まり、次第に、教育、研究、応用部門で、活動を拡大しました。1971年、地球物理学と宇宙物理学の二つが加えられました。学生たちは地球の構造や特徴を知り、イラン各地の地下資源や地震の発生、地球物理学の技術プロジェクトに関する調査においてそれを利用しています。採掘、地震学、重力・地磁気測定、様々な実験所がこれらのグループと緊密な協力を行っています。

 

気象物理学を専門とする学生は、学士、修士、博士の各過程において様々な気象学の知識を学び、それらを環境や農業、開発、産業、水、運輸といった分野で応用します。オゾン層と大気汚染、太陽物理学と天文学、気象学、電離層の研究部門がこのグループと緊密な協力を行っています。

 

2014年から15年には、地球物理学の様々な学科の学生279人がテヘラン地球物理学研究所で学んでいました。また外国人の学生も一部の学科で学んでいます。

 

イランの大学制度において中心的大学とされるテヘラン大学は、この他にも多くの部門から構成されており、長年にわたり、多くの思想家やエリートを教育してきました。さらに、イラン国内のみならず、イラン国外からも、学術的な質の高さと優れた施設の存在を理由に、多くの学生がこの大学に留学しています。