ペルシャ語ことわざ散歩(198 )「黒い土の上に座らせる」
皆様こんにちは。シリーズでお届けしております「ペルシャ語ことわざ散歩」、今回は「黒い土の上に座らせる」という表現をご紹介してまいりましょう。
ペルシャ語での読み方は、Be khaak-e siyaah neshaandan となります。
この表現が意味している概念は複数あり、その1つは不幸のどん底にある状態です。
もう1つは、罪のない人々を圧政で苦しめた暴君を、罰としてひどい目に遭わせることです。
さらには、いつでも死にたいと考えるほどの絶望の淵に誰かを追いやり、その人にこれ以上ない貧困や苦しみを与え、希望の道を全て閉ざし、八方塞がりの状態に貶める、という意味にもなります。
使い方の例としては、「誰かを信用してあるプロジェクトに共同出資したのが、その計画が失敗しただけでなく、自分にその話を持ち掛けてきた人が自分の出資金を持ち逃げし、姿をくらましてしまった。その人はこのプロジェクトの誘いにより私を黒い土の上に座らせた」といった具合です。
このような場合、日本語ですと「煮え湯を飲まされた」ということになるかと思います。
しかし、何の罪もない人がこうした酷い目に遭うことは納得できないとしても、民衆を苦しめた暴君に然るべき罰を受けさせることは必要ではないでしょうか。
ちなみに、この表現に出てくる黒い土とは、不幸や不運を指しています。
もっとも、日本語で黒土地帯といえば、穀物がよく実る肥沃な地域という意味になり、特にウクライナの黒土地帯が有名かと思われます。
同じ黒い土と言っても、ペルシャ語と日本語ではそこから発生する意味概念が大きく違っており、こうしたところにも言語の違いの面白さが出ているのではないでしょうか。それではまた。
この番組は、IRIBイランイスラム共和国国際日本語通信パールストゥデイ がお送りしています。