6月 11, 2017 19:41 Asia/Tokyo
  • 治安悪化を目的としたテヘランのテロ

7日水曜、テヘランでは複数のテロ攻撃が行われました。この数年間、テロ組織ISISの犯罪はいずれも、イランの周辺で行われていましたが、テヘランのテロは改めて、テロに国境はないことを示しました。テロリストはいつであれ、どこであれ、地域を情勢不安に陥れるという基本的な目標を推進しようとしているのです。

テロリストのチーム2つが、ほぼ同時に、テヘラン南部のイスラム革命創始者のホメイニー師の廟の傍らで、そして中心部の国会関連の建物にて、テロにより、イランの安全で平穏な雰囲気に害を及ぼそうとしました。

このテロにより、17名の殉教者と、数十名の負傷者が出ました。タクフィール派のテロ組織ISISが、このテロ攻撃の犯行声明を出しました。

イランは情勢が不安定な地域の中で、安定している島のような国であり、イスラム革命最高指導者のハーメネイー師が強調したように、今回のテロ攻撃のようなテロリストの行動によって、それが大きく損なわれることはありません。ハーメネイー師はテヘランのテロに関する最初の反応の中で、これらを、くだらない爆竹遊びだとして、「このような出来事が、イランの国民や体制責任者の意志を崩すことはない」と強調しました。ハーメネイー師は、次のように語っています。

「イランは何年もの間、7日にテヘランで起こった事件よりもはるかに困難で大規模な状況のもとに置かれていたが、イスラム体制は前進を続けることができ、覇権主義体制が成功を手にすることはなかった」

テヘランのテロは、世界各国の反応を呼び、国連事務総長や、ヨーロッパ諸国、地域諸国は、このテロを非難し、団結と国際的な意志が、真剣なテロ対策の唯一の道だとしました。これは、シリアやイラクにテロ組織が入り込んだころから、イランが繰り返し強調していることです。このテロは、イランが地域で真剣なテロ対策を行っていることを示すものです。

イランは、シリアの雇われテロリストと戦う中で重要な役割を有しています。こういったテロリストは、サウジアラビアのワッハーブ派思想によって生まれ、一部のアラブ諸国の石油収入による資金源、そしてアメリカの兵器を得ています。イランはシリアの合法政権の要請により、シリアでテロとの戦いを行っており、シリアのISISのテロ根絶におけるイラン人顧問の役割は、イランの地理的な安全の確保に貢献しています。

明らかに、テロは世界各地で非難されていますが、2001年9月のアメリカ同時多発テロ以降、テロとの闘いという名で、危険な行動が行われ始めました。しかし、その結果、テロを拡大し、テロに対しては恣意的な対応が行われました。

アメリカはテロに関する偽りの定義により、テロを一方的な基準でよいテロと悪いテロとに分け、一部のテロ組織を支援しました。サウジアラビアなどの一部の地域諸国も、テロリストに資金や武器を提供し、これにより世界各国から傭兵がISISに引き寄せられたのです。この行動は、テロを支援し、拡大するということのみを意味しています。

多くの証拠から、アメリカはイランに対して圧力を加えるため、テロを政治的な道具としてくり返し使ってきたということが示されています。今日も、テロの支援者は悪質なテロリストを地域からイラン国内に入れ、イランの治安を悪化させようとしています。それはまさに、7日水曜のテヘランのテロでした。今日、地域で出現しているテロリストはイランをも標的にしており、これは現在においても繰り返されています。

問題となるべきは、テロが国際的な脅威に変わっていることですが、一方でテロ対策は、いまだに国際的なものになっておらず、もしテロとの戦いを主張する国であっても、それは一面的なものでしかありません。つまりアメリカやイギリス、サウジアラビアのような国は、自らテロを生み出し、テロリストを支援しています。この中で、シオニスト政権イスラエルも、テロ犯罪を拡大するグループのひとつとなっており、地域の情勢を不安定にすることで、地域のイスラム抵抗戦線に対して最大の影響を与えるような形で、危機を高めようとしています。

間違いなく、この分野で最大の役割を果たしている国は、サウジアラビアで、地域の安全を危機に落としいれ、再びアメリカを地域の情勢不安に介入させるためにあらゆる機会を利用しているのです。この政治ゲームは、トランプ大統領の最近のサウジアラビア訪問の中で、1000億ドル以上の兵器を地域の湾岸諸国、特にサウジアラビアに売却する下地を整えました。

イタリアの新聞ラスタンパは、少し前に、イスラエルからサウジアラビアまで、すべての国が反イランであるという記事で、次のように記しました。

「イスラエルのリーベルマン戦争大臣とサウジアラビアのジュベイル外相のイランに反対する立場は、近いとすることができる。リーベルマン戦争大臣もサウジアラビアの吹込みにより、より大胆になり、『1948年から現在まで、中道派やスンニ派のアラブ人は、イスラエル、あるいはユダヤ人、シオニズムが重要な敵ではなく、イランが重要な敵だということを理解している』と主張した」

アラビア語メディア・ライアルヨウムの編集長で、著名なアナリストでもあるアブドルバーリ・アトワン氏は、次のように記しています。

「地域諸国の同盟関係の実質的な目的とは、明らかにイランに対する戦争ではない。それは、アラブ諸国と占領者のイスラエルの関係を完全に正常化するために、イランによる大きな危険という中身のない主張を利用し、アメリカのインフラプロジェクトの資金の確保のために、湾岸諸国の富を略奪することである。アメリカのトランプ大統領は大統領選挙の中で、それを公約していた」

アメリカは、ISISに対して行っている支援により、テロ組織が活動を継続できる環境を整えています。アメリカの行動は、地域や世界の人々に対して、テロの拡大や戦争、分裂、治安悪化以外の結果をもたらしていないというべきでしょう。今日、シリアや地域に存在するテロの暴力は、独立諸国の情勢不安を目標としており、テロの拡大に関与している人物は、アメリカと協調していることで、保護を受けているのです。

中東地域の現状は、イスラム革命の勝利のはじめにおいて作られたシナリオのくり返しなのです。今日、まさにその同じシナリオが、数カ国にいるISISというテロ組織によって地域で実行されており、サウジアラビアなどはISISに対してひそかに支援を行い、明らかな形で、テロ支援とイランの治安悪化を、外交政策における戦略の一部だと表明しています。

サウジアラビアは、この数年、侵略政策やテロ支援により、地域の治安悪化に大いに関与しています。このような状況の中で、トランプ大統領は2017年5月にサウジアラビアを訪問し、1100億ドルの武器契約によって収入を得る見返りとして、地域の反イラン的なサウジアラビアの行動を支持しています。

この一連のプロセスに注目すると、テヘランのテロはこうした目的で行われたと見ることができます。独立国であり、大国に依存しないイランは、現在もテロとの戦いの中にあり、テロリストやその支援者は、イスラム革命最高指導者のハーメネイー師の言葉によれば、イラン国民の意志に影響を与えるほど、大きな存在ではないのです。