イチジクや乾燥ナッツ
この時間は、イランの非石油製品の輸出品目のひとつである、イチジクや乾燥ナッツについてお話ししましょう。
イチジクは、世界の多くの国で生産されている果物です。この植物の原産地は地中海地方です。イチジクの栽培が初めて行われたのはエジプトで、紀元前4000年にさかのぼると言われています。イチジクは、ユダヤ教の祭りの一つである、過ぎ越しの祭りの際の聖なる食べ物のひとつで、聖書でも、天国の果物のひとつとして記されています。
最後の聖典であるコーランには、イチジク章があります。この章は、コーランの95番目の章で、次のように始まっています。「イチジクとオリーブに誓って」 この節については様々な解釈が存在します。一部の解釈者は、この節で神がこの2つの果物に誓いを立てたのは、これらの果物に多くの効果があることを示しているとしています。
イチジクには豊富な糖分が含まれています。乾燥したイチジクの半分は糖分でできています。イチジクは他の果物以上にミネラルが含まれ、ポタシウム、カルシウム、リン、ビタミンA、B、Cが豊富です。イチジクは、血中の糖分が低く、突然、気分が悪くなる人にとって有益です。なぜなら、イチジクの糖分は急速に小腸に吸収されるからです。
イチジクは、がんや皮膚の病気の予防、体の弱い子供の健康の維持、貧血、食欲減退に効果的です。イチジクにはまた豊富な食物繊維が含まれています。
この他、イチジクは、ダイエットにも利用できます。イチジクには脂肪分がなく、他の果物と同じように、コレステロールも含まれていません。
乾燥させたイチジクをに出したものは、呼吸器官や肝臓の炎症に効果的です。また、風邪の予防にもなります。イチジクは、消化器官を強化します。
イチジクは、イランをはじめとする世界の多くの国で、経済的に重要な農産品のひとつです。イランのイチジクは経済的にも、食品としての価値の点でも質が高く、日本、中国、香港、ベトナム、マレーシア、シンガポール、韓国、台湾、インド、イラク、ベルギー、オランダ、イギリス、アゼルバイジャン、ペルシャ湾岸諸国に輸出されています。
イラン各地では、5万ヘクタールの土地で様々な種類のイチジクが栽培されており、そこからおよそ8万トンのイチジクが収穫されています。テヘラン南西部のサーヴェでは、黄色い皮のイチジクが、西部ロレスターン州では、紫色のイチジクが、そしてイラン南部ファールス州では、緑色のイチジクが見られ、これらがイランの主なイチジクの種類となっています。
イランのイチジクの主な生産地のひとつは、ロレスターン州です。ロレスターン州は、イラン第一のイチジクの生産地で、農業に適した土壌や気候、水量の多い河川を有しています。ロレスターン州の人々の経済の基盤は農業で、イランのイチジクの33%が、この州で生産されています。
ロレスターン州のポルドフタル行政区は、紫色のイチジクの生産地として知られています。他の種類も熟すのが早いため、イランや他の国でも人気があるのが、この紫色のイチジクです。紫色のイチジクは、ポルドフタル行政区の広範な土地で栽培されています。
イラン南部で生産されているイチジクの90%以上は、ファールス州で栽培されています。ファールス州のイチジクは、有機栽培に適した条件が整っているために、非常に高い品質を誇っています。ファールス州のイチジクの品質が世界の他の国のそれと比べて優れているのは、農薬が使用されていないためです。
ファールス州の20以上の行政区でイチジクが栽培されています。イランで生産されるイチジクの85%以上は、乾地農法で作られています。ファールス州の乾地農法によるイチジクの畑のほとんどは、通るのが非常に困難な急な勾配の高地にあります。これらの畑は200年以上前から存在し、昔の人々の努力によって生まれたものです。
ファールス州のイスタフバーン行政区は、イランで最もイチジクの生産量が多い行政区です。イスタフバーン行政区は、世界最大の乾地農法によるイチジクの栽培地で、年間7000トン以上の乾燥イチジクが栽培されています。専門家によれば、この州の乾地農法によって生産されたイチジクは、品質、量、栽培面積、有機農法といった点で、世界1位だということです。
イラン産の乾燥イチジクは、世界的に知られています。イランは、世界1位の乾燥イチジクの生産地です。FAO国連食糧農業機関によれば、ファールス州のイスタフバーン行政区は、世界最大の乾燥イチジクの生産地となっています。
ドライフルーツには、干しブドウ、アプリコット、モモ、サワーチェリー、ナツメヤシ、イチジクなどがあります。これらのドライフルーツは、ピスタチオ、アーモンド、クルミなどとともに食べられます。
ドライフルーツは、新鮮な果物を保存するための最も古い方法のひとつです。現在、世界の国々は、農業の重要性に気付き始めたため、ドライフルーツの種類が増加しています。ドライフルーツは、食料の価値の高さやその医学的な効果により、世界の市場で特に需要が高まっています。イランでは、気候の多様性により、さまざまな種類のドライフルーツが生産されています。
現在、イランの農業部門の政策のひとつは、加工産業を発展させ、農産品の廃棄物を減らし、製品の価値を高め、農村地域の経済的、社会的な発展を促すこととなっています。加工産業により、農産品を同時に市場に提供し、その結果、価格の急速な低下を防ぎ、季節外れであっても、高い価格で農産品を市場に提供することができるようになります。
この中で、イランには、果物や野菜を乾燥させ、その加工品を生産し包装する大企業が存在します。現在、年間20億ドル以上のドライフルーツが、ドイツ、フランス、イギリス、イタリア、スペイン、スウェーデン、ノルウェーといったヨーロッパ諸国、カタール、アラブ首長国連邦、クウェートなどのペルシャ湾岸諸国、そして韓国、中国、日本、オーストラリア、ロシアといった国々に輸出されています。