4月 15, 2018 18:14 Asia/Tokyo
  • イスラムと健康
    イスラムと健康

今回は、イスラムの教えから見た、病気の治療と予防における様々な食物の摂取の影響についてお話することにいたしましょう。

各種の食物は、体に必要な栄養を確保するとともに、様々な特徴を持つために、病気の治療や予防にも効果的な役割を果たしています。人間の体は、たんぱく質や脂肪、炭水化物、水分、各種のビタミンやミネラルなど、様々な栄養素を必要としています。これらの要素の全てを供給できる食物は、適切な食物といえます。これらの構成要素が多すぎたり少なすぎたりすると、体内の栄養のバランスが崩れ、病気にかかりやすくなります。

食物

 

今日、栄養学の専門家は、食物による病気の治療が、医薬品による治療よりも様々な点で優れていることに気づいています。特に、自然食品を初めとする各種の食品は、全ての人々にとって好ましいものですが、医薬品は事情が異なります。経済的に見ても、医薬品にかかる費用は食品の値段とは比べ物にならないほど高額です。

食物には、病気を予防する性質がありますが、医薬品は多くの場合、病気の治療に利用されています。医薬品の多くは、人間にとって有害ですが、食物は大抵悪影響を及ぼすことはありません。また、医師または患者が医薬品の使用を誤った場合、悪影響をきたすのみならず、場合によっては死に至ることもあります。

 

興味深いことに、イスラムの聖典コーランでは栄養の問題が極めて注目されています。また、栄養の基本的、一般的な原則が注目されているほか、一部の食物について言及されていますが、それらについては、栄養学の専門家からも、数多くの著作や論文が記されています。

コーランにおいては、一部の食物に対して誓いが立てられています。例えば、コーラン第95章、アッ・ティーン章、「イチジク」第1節では、「イチジクとオリーブにおいて誓う」との文章が見られます。また、このほかにも雌牛やミツバチ、家畜、食卓など、コーランの一部の章は食物や食物に関するものの名前がつけられています。

オリーブ

 

コーランはまた、様々な折に一部の食物について言及しています。第95章、アッ・ティーン章「イチジク」、第1節と、第6章アン・アーム章「家畜」第141節ではオリーブが、さらに第2章「雌牛」ではキュウリやレンズ豆、ニンニク、タマネギが出てくると共に、第16章アン・ナフル章「ミツバチ」第67節と第23章アル・ムウミヌーン章「信仰者」第19節などにはぶどうが、そして第12章ユーソフ章「ヨセフ」第36節にはパンが、また、第6章アン・アーム章「家畜」の99節と141節にはザクロが出てきます。

イチジク

 

ここからは牛乳が持つ特徴についてお話することにいたしましょう。

特に栄養学を初めとする学問の発展に伴い、食物に含まれる栄養や医学面での新たな特質が毎日のように発見されています。中でも、牛乳は多くの特徴を持ち、体の健康に有益な食品の1つです。

 コーランは、様々な家畜が人間にとって有益であることに触れていますが、中でも特に家畜の乳に注目しています。コーラン第16章、アン・ナフル章「ミツバチ」、第66節には次のようにあります。

“また、家畜にもあなた方への教訓がある。我々は、その胃の中で消化された食物と血液の間から、あなた方に飲料を与える。その乳は飲む者にとって清らかであり、消化しやすいものである”

乳製品

 

ここで、コーランは非常に細かい点に触れています。それは、牛などの乳が、その胃の中で消化された食物や血液の中から出てくるという点です。現代生理学においても、食物が胃腸の内部で無数の毛細血管を通り、その中に含まれる有益な栄養分が吸収され、最終的に乳房の先端に到達することが証明されています。

 

科学者の間では、動物の乳汁には各種のビタミン類や水分、脂肪分、糖分、カリウム、マグネシウムやリン、スズ、マンガン、銅、鉄などのミネラル、ヨウ素、、塩素、硫黄などが含まれていると考えられています。さらに、乳には、19種類の酵素や酸素、窒素、二酸化炭素、クエン酸なども含まれています。

牛乳1リットル当たりには、人間の体が1日に必要とするたんぱく質と脂肪分の半分、カルシウムの全て、ビタミンB2のほか、ビタミンAの半分、ビタミンB1の3分の1が含まれており、これらは多くの病気の予防に役立ちます。

イスラムの伝承では、牛乳は病気を癒す要素とされています。現代医学においても、このことが証明されており、牛乳は腸チフスや胃潰瘍に対する抗酸化剤と見なされています。

また、クワシオルコルと呼ばれる栄養失調の1つや急性胆のう炎、鉛中毒をはじめとした中毒症状後にも、牛乳が利用されています。さらに、牛乳は糖尿病の患者も自由に飲むことが許されています。

牛乳

 

さらに、牛乳による食事療法は、体重を落とす上でも効果的であり、貧血や頭痛、偏頭痛、神経衰弱、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃下垂、蕁麻疹や湿疹、抜け毛、リューマチなどの病気にも良く効くとされています。

牛乳に含まれる栄養分やその発祥源がまだ明らかにされていなかった時代に、コーランは既にこの重要な食物の効能について言及しています。これはコーランの奇跡となっています。フランスの医学者モーリス・ブカイユは、この点に注目し、次のように語っています。

「コーランがこうした知識に言及しているのは、コーランが成立した時代を考えると、人間の思想が生み出したものではありえない」

次回もどうぞ、お楽しみに。