イラン・アルメニア、深まる地政学的協力
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アルメニア国家安全保障会議のグレゴリアン書記(左)と会談するイランのペゼシュキヤーン大統領(右)
アルメニア国家安全保障会議のグレゴリアン書記が30日、イランを訪問し、同国の高官らと相次いで会談しました。コーカサス情勢に注目が集まる中、両国は地政学的協力を深めつつあります。
【ParsTodayイラン】グリゴリアン氏は30日、訪問先のテヘランでイランのペゼシュキヤーン大統領、ラリージャーニー国家安全保障最高会議書記、アラーグチー外相らと会談し、意見交換を行いました。
ペゼシュキヤーン大統領は会談後、グレゴリアン氏からの説明を受けて、「コーカサス情勢、特に外国勢力の関与に関するイランの懸念の大部分が解消された」と述べました。そして、どの外国勢力も両国間の友好的かつ戦略的な関係に亀裂を生じさせることがないように進めていくべきだと強調しました。
ラリージャーニー氏は、アルメニアとの経済・政治・安全保障および防衛面での協力に対してイラン側が満足しているとし、特に南北物流回廊の完成とペルシャ湾と黒海の接続に向けた協力を強調しました。また、アルメニアとアゼルバイジャン間の平和維持に対するイランの支持を表明し、イランは地域の独立と安定を支持していると述べました。
アラーグチー外相は、「イランとアルメニアの二国間関係は長い歴史を有し、相互尊重と双方の自然かつ合理的な利益に基づいている」と述べ、イランはアルメニアとのあらゆる分野での関係拡大に制限がないことを強調しました。
一方のグリゴリアン氏も、アルメニアがイランとの関係を、特に経済・貿易分野でさらに発展させる強い意志を持っているとし、イランとの協議を続けていく意向を表明しました。
グリゴリアン氏はまた、イランのムーサヴィー参謀本部議長とも会談し、両国および地域の発展について意見を交わしました。
グリゴリアン氏とイラン高官との一連の会談は、戦略的で多角的な意義を持つものです。
イラン側は今回の会談で、コーカサス地域の現状変更に対する反対を再度表明し、特にアルメニア・イラン国境沿いにアゼルバイジャンとその飛び地領・ナヒチェヴァン自治共和国を結ぶ「ザンゲズール回廊」の設置に反対していることを強調しました。一方で、イランはアルメニアとアゼルバイジャンの平和的な対話を支持し、地域の国々の独立と安定を強化し、持続可能な安全保障を実現するために支援を惜しまないことを表明しました。この交渉は、イランの南コーカサスでの役割を強化し、アルメニアとの戦略的な絆を深める重要なステップといえます。
イランとアルメニアの戦略的な協力は、南コーカサスおよびユーラシア地域におけるイランの役割を再定義するための重要な要素と考えられます。イランはアルメニアの領土保全を支持し、国境の変更に反対することで、コーカサス地域の安定を支えています。また、アルメニアとのインフラおよび貿易協力を通じて、イランはユーラシアおよびヨーロッパの市場にアクセスし、国の輸送能力を向上させています。
この関係を通じて、イランはユーラシア経済連合(EAEU)や上海協力機構(SCO)などの地域機関で地位を強化しています。南コーカサスおよびユーラシア地域が地政学的および経済的に大きな変化に直面している中、イランとアルメニアの協力は、物流回廊の再定義、経済安全保障の強化、そしてイランの地域内における地位の向上において重要な役割を果たしています。
イランとアルメニアの協力が強化されることで、地域の新たな物流回廊が開かれ、地域貿易の多様化に貢献することが期待されます。また、これらの回廊はEAEU加盟国の競争力を高め、イランの地域的な経済プレーヤーとしての役割を確立することができます。