フランスの政治的混乱はユーロ圏諸国にも波及するか?
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フランスのフランソワ・バイル首相
国内の政治危機により厳しい圧力にさらされているフランスのバイル首相が、同国の大富豪を誘惑しているとしてイタリアを脱税で非難しました。
ドイツの雑誌『フォークス』は、イタリアとフランスの間で激化する税制紛争と両国間の緊張関係について報じた。
【ParsToday国際】フランソワ・バイル首相は同国内の政治危機による厳しい圧力にさらされる中、同国の富裕層を低税率で誘惑・誘致しているとし、イタリアを脱税で非難しています。
バイル首相はあるインタビューで脱税対策について語り、フランスにおける金融流出の増加に遺憾の意を示すとともに、「残念ながら、人々は海外でより良い税制を求めて国外へ移住している」と述べています。
一方、イタリアのメローニ首相は、フランス政府による対イタリア非難に強い驚きを示すとともに、これには全く根拠がないと述べました。メローニ首相は「イタリア経済は魅力的であり、その安定性と信頼性のおかげで他国よりも好調である」と主張した上で、「他の欧州諸国がタックスヘイブンとして機能し、経済面でイタリアに打撃を与えている」と非難しています。政治専門家らの間では、わずか数週間前にフランスのエマニュエル・マクロン大統領とメローニ首相がローマで和解のための会談を行ったばかりの状況でこの論争が生じたことは、既に緊迫化しているイタリアとフランスの関係をさらに悪化させる恐れがある、と見られています。
経済学者らは、フランス財政は完全な破綻寸前ではないものの、不安定な状態にあると指摘しています。フランスが金融市場から借り入れる10年借款の金利は、イタリアをわずかに下回る3.5%となっています。
しかし、バイル首相は今月8日に議会での信任投票の再実施を要請したことにより、少数与党政権の将来を新たな試練にさらす形となっています。バイル首相は、「フランス経済の再生には緊縮財政が必要だ」と主張していますが、この動きは政治的混乱を再燃させ、金融危機の深刻化への懸念を高める可能性があります。
一方、ECB欧州中央銀行のクリスティーヌ・ラガルド総裁は今月1日、フランス政府崩壊のリスクについて懸念を表明し、「ユーロ圏各国における政治的混乱は市場に影響を与える」と警告しました。また「フランスは現在、IMF国際通貨基金の介入を必要とする状況にはないが、ユーロ圏における政府崩壊のリスクは『憂慮すべきもの』だ」とコメントしています。