May 17, 2018 20:45 Asia/Tokyo
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この時間も、今週のイランの経済的な出来事についてお話ししましょう。

この1週間の主な経済分野の出来事です。

スリランカの大統領がイランを訪問しました。

アメリカの核合意離脱による、イランと外国企業の今後について見ていきます。

イランとカスピ海沿岸諸国の経済代表団による会合が開催されました。

 

今週、スリランカのシリセーナ大統領がイランを訪問しました。この訪問は、政治、経済関係の拡大を目的に行われました。

 

シリセーナ大統領は、イランのローハーニー大統領と政治・経済問題について話し合うとともに、最高指導者のハーメネイー師とも会談しました。

 

ローハーニー大統領とシリセーナ大統領

 

イランイスラム革命最高指導者のハーメネイー師は、シリセーナ大統領との会談で、アジア諸国の協力を強化する必要性に触れ、この協力はこれらの国の強化につながるとしました。また、イランの科学技術、研究分野の発展は、両国の協力拡大に適した土台になるとし、「イランは、スリランカとの友好と協力を強化する用意がある」と語りました。

 

 

ハーメネイー師とシリセーナ大統領

 

シリセーナ大統領のイラン訪問と、テヘランでの両国の関係者による関係拡大についての協議は、生産と貿易の分野の民間部門による経済協力の新たな機会を整えました。

 

イランは、アジアの重要なエネルギー供給国です。イランは、地理的な状況に恵まれ、西アジア最大の市場として、アジアの生産国にとって魅力的な国となっています。シリセーナ大統領は、これについて、ローハーニー大統領との会談で、スリランカのプロジェクトへのイランの経済活動家や投資家の参入を求めました。

 

この中で、イランとスリランカの大統領の立ち合いのもと、文化交流に関する計画と協力に関する4つの覚書が調印されました。

 

これらの覚書は、医療や産業研究、映画産業、文化、教育交流計画などに関するものとなっています。

 

アメリカのトランプ大統領は、今月8日、イランに対する根拠のない主張を繰り返し、アメリカの核合意離脱と、イランに対する核関連の制裁の、2段階における復活を発表しました。

 

トランプ大統領による国際的な合意の違反と、正式な核合意からの離脱は、ヨーロッパの大企業から、イランとの取り引きによる数十億ドルの利益を奪うことになります。

 

トランプ大統領

 

トランプ大統領が、アメリカの核合意離脱に関する大統領令に署名した数時間後、アメリカ財務省は、声明を発表し、イランで活動を行う企業に対して、90日と180日の猶予を設け、イランとの通商関係を終わらせることを義務付けました。それに従わなかった場合には、アメリカの制裁の対象となります。アメリカ財務省の声明は、この2年、数十億ドルの契約をイランと結んできたヨーロッパの大企業に大きな衝撃を与えました。

 

トタルやロイヤルダッチシェルなどの石油大手は、イランの油田・ガス田の活動に関する大規模な契約を締結しています。また、フランスのルノーやプジョーといった自動車メーカーも、イランでの共同開発に向けた投資を行ってきました。エアバスは、イラン企業に航空機100機を売却する契約を実施中で、これまでに3機が、イランに引き渡されています。こうした中、アメリカのボーイングは、制裁の復活により、契約を履行していません。

 

アメリカ財務省の制裁関連部門の元関係者で、現在は弁護士として活動するシュミット氏によれば、今後、アメリカに支社を持つヨーロッパ起業は、イランで活動をした場合、アメリカの法に違反したものと見なされることになります。アメリカで活動を行わない企業も、アメリカに従うか、それとも反対するかで制限を受けることになります。つまり、アメリカ政府は彼らに対し、イランとの取り引きを続けたければ、アメリカでの活動の許可を与えないと言っています。

 

先週、イラン北部ギーラーン州の国境都市アスタラで、アゼルバイジャンとイランのアスタラ間の鉄道に関する会合が開催されました。

 

この会合では、貿易、運輸、エネルギー、技術の分野の、イランとアゼルバイジャンの経済協力について議論が交わされました。アゼルバイジャンは現在、イランの25の経済プロジェクトに3億1200万ドルの投資を行っています。

 

アゼルバイジャン投資輸出振興機構のメフメドフ長官は、この会合で、イランとアゼルバイジャンの関係拡大が地域の経済に及ぼす影響は明らかだとし、「この数年、経済分野への両国の合同投資は増加している」と述べました。アスタラ港は、アゼルバイジャンと、カスピ海上で38キロ、陸は15キロの国境を接しています。

 

今週、イランのロシア駐在大使と、ユーラシア経済連合の貿易大臣が出席する中、イランとこの連合の自由貿易区に関する合意を調印するための準備を目指した会合が開催されました。

 

ユーラシア経済連合のニキシナ通商大臣は、先週金曜、ロシア駐在のサナーイー・イラン大使と会談しました。イランとユーラシア経済連合の自由貿易区に関する合意は、今月17日にカザフスタンの首都アスタナで調印されます。

 

ユーラシア経済連合は、アジアとヨーロッパの経済組織で、2000年10月に活動を開始しました。この経済組織には、ベラルーシ、カザフスタン、キルギス、ロシア、タジキスタン、ウズベキスタンが加盟しています。

 

カスピ海沿岸のイランの港は、インド洋沿岸諸国と中央アジア諸国を結ぶ場所となることができます。イランは、自由貿易と海運プロジェクトの実施により、カスピ海沿岸諸国やペルシャ湾、オマーン海沿岸諸国との経済協力を拡大するための最高の機会を整えています。

 

トルクメニスタンのメレドフ外務大臣は、今週、テヘランで、イランとの協力拡大に向け、良好な歩みが進められていることを明らかにしました。イランとトルクメニスタンの協力は、貿易、経済、エネルギー、運輸、製品のトランジットなど、さまざまな分野で拡大しています。

 

この中で、テヘランでの経済協力に関する2日間の会合の後、鉄道運輸に関する関係拡大についての合意書が調印されました。これにより、地域の鉄道協力を拡大するため、カザフスタン、トルクメニスタン、イランを結ぶ鉄道を、さらに活用することが定められました。

 

イラン南部にあるマクラーン沿岸とチャーバハール港も、国際貿易の主要なルートにつながっており、トランジットにおける利点となっています。

 

現在、世界最大のガス精製所が、イラン国内の専門家によって建設されています。イラン国際石油見本市の傍らで、イスラム革命防衛隊のアブドッラヒー開発本部司令官が、記者会見を行い、次のように語りました。

 

「ペルシャ湾セターレ精製所の第2フェーズの稼動により、我々はガソリンの生産において自給自足に達した。これは、イラン製品への支援と利用によって実現した。なぜなら、ペルシャ湾精製所の設備の70%以上は、国内で製造されたものだからだ」

 

アブドッラヒー司令官はさらに、次のように語りました。「ペルシャ湾の精製所の完全な稼動により、イランはガソリンの輸出国に加わる」