4月 25, 2019 04:30 Asia/Tokyo
  • タバスのゴルシャン庭園
    タバスのゴルシャン庭園

今回は、タバスのゴルシャン庭園についてお話しましょう。

 

 

ゴルシャン庭園は、ルート砂漠とキャヴィール砂漠の間にあり、面積は8ヘクタールで1977年にイラン国家遺産に登録されました。

タバスのゴルシャン庭園

 

イラン東部・南ホラーサーン州にある砂漠都市タバスは、砂漠性の気候を有し、北をバルデスキャンとシャーフルード行政区、東をフェルドゥースとビールジャンド、南をケルマーン州、西から南西をナーイーン、アルダカーン、バーフォグの行政区に囲まれています。タバスは、サーサーン朝以前に遡る非常に長い歴史を有し、かつては取り引きの中心地で、非常に栄えた都市となっていました。タバス行政区は、面積およそ5万5000平方キロメートルで、美しい自然を有しています。美しい景観、冷泉と温泉、砂の丘、山あいの深い渓谷、植物や気候の多様性が、その特長です。タバスの野生動物の生息地も、興味深く美しいものとなっています。

タバスのゴルシャン庭園

 

タバスの町は、標高700メートル近くあり、東部には、ショトリー山脈という名前の背の高い山脈が連なり、その東側は、タバスの大きなくぼみとなっています。この行政区の豊かな石炭鉱山は、遠い昔に、この地域に大きな湖と森林が存在したことを物語っています。この鉱山の存在により、タバスはイランで最も豊かな地域の一つとなっています。

タバスのゴルシャン庭園

 

今回は、タバスの庭園作りについてお話します。タバスは、庭園作りの分野で、重要な都市のひとつです。この町の建設や建築は、完全に、自然の影響を受け、樹木がふんだんに使われたものとなっています。ナツメヤシの木が至るところで見られ、建物を建てるために樹木を伐採する代わりに、それらを、土台や天井、階段として活用していることが分かります。木の幹が家の壁や天井の小窓から出ていたり、砂漠性の気候の暑さの中で、木が傘のように家の屋上から影をさしている姿が見られます。タバスの庭園は、乾燥した砂漠、カナート・地下水路の水、樹木、レンガと土でできた家を結びつける興味深い例となっています。この町のゴルシャーン庭園は、この町のシンボルになっています。

タバスのゴルシャン庭園

 

ゴルシャーン庭園は、およそ8000平方メートルの面積を有し、イランのチャハールバーグ様式で設計されています。庭園の入り口の建物は2階建てで、ガージャール朝初期のものです。庭園の入り口の門は、広場と庭園の間にあり、2本の柱のあるエイヴァーンとレンガの装飾が見られます。資料によれば、ゴルシャーン庭園はザンド朝とガージャール朝時代のもので、その名前と説明が、ガージャール朝時代の資料に記載されています。ゴルシャーン庭園は、ガージャール朝の王、ナーデルシャーによってタバスの統治を任命された人物によって建設されました。この庭園には、2つの交差する通りがあり、庭園を4つの部分に分けています。

タバスのゴルシャン庭園

 

ゴルシャーン庭園は、イランの2つの塩砂漠、ルート砂漠とキャヴィール砂漠の間に位置しています。とはいえ、この地域の豊かな水資源の存在により、美しい天然の池や滝が見られ、牧草地が広がっています。ゴルシャーン庭園は、ナツメヤシやザクロ、その他の柑橘類の木が見られ、花々の香りと共に、美しい統一を作り出しています。タバスのゴルシャーン庭園は、イランの類まれなる庭園の一つで、そこでは常に水が流れています。庭園の最初の設計者は、そこに生える木の種類に注目し、その緑の自然を市松模様に設計しています。

タバスのゴルシャン庭園

 

この歴史的な庭園に見られる木々は、類まれなる自然を作り出しています。この庭園では、寒冷地帯で見られるスズカケの木と熱帯地域のみで見られるナツメヤシの木など、異なる気候で生える様々な種類の植物が存在します。ザクロ、ぶっしゅかん、アカシア、杉、ピスタチオ、ヤナギ、コショウ、ベリー、りんご、アーモンド、西洋梨などが、この庭園で見られる樹木となっています。

タバスのゴルシャン庭園

 

ゴルシャーン庭園を潤すために、きれいな水路を水が流れ、池に溜まり、庭園内を十分潤した後に、8角形の建物の下から町の別の地域へと流れていきます。池の水は、その縁から流れ出た後、細い水路を伝って庭園内をめぐります。この池には3つの噴水があり、水のせせらぐ音を庭園内に響かせています。1951年には、3羽のペリカンがこの庭園にやってきて、周囲の砂漠地帯とは異なる雰囲気をもたらしています。このペリカンの存在により、ゴルシャーン庭園は、ペリカン庭園とも呼ばれています。

タバスのゴルシャン庭園

 

ゴルシャーン庭園を称賛しているのは、地元の人々だけではありません。スウェーデンやフランスの旅行家も、タバスを訪れ、ゴルシャーン庭園と、そこに生えるナツメヤシやかんきつ類の木、ナツメヤシの涼しい木陰、小川の美しいせせらぎ、2つの水路の間に広がる芝生、風のざわめき、美しい噴水について語っています。フランスの著名な建築家の夫人は、ゴルシャーン庭園について、次のように語っています。「この庭園には、大きな池があり、そこにある数多くの噴水から、水が空へと舞っている」

タバスのゴルシャン庭園

 

タバスのゴルシャーン庭園の特長は、庭園が四角形をしていること、つまり、奥行きと幅が同じ長さをしていることであり、これと同じ特徴は、世界でもインドのタージマハルでのみ、見られるものです。ゴルシャーン庭園の入り口の建物は、1978年にタバスを襲った地震によって完全に破壊されました。現在は、昔の形に復元されています。タバスのゴルシャーン庭園は、春になると、イラン東部、南ホラーサーン州の最も魅力的な場所、最も美しい場所となっています。

 

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