イラン経済通信
この1週間のイランの経済的な出来事について見ていきましょう。
イランにおけるヨーロッパの経済的な利益について見ていきます。
イランと各国の経済取り引きの拡大に関して、道路や鉄道の輸送が果たす役割をお話しします。
D8イスラム途上8か国の事務局長がイランを訪問しました。
ヨーロッパ諸国は、イランと多くの経済的な利益を有しています。しかしアメリカは、核合意が実施された初日から、ヨーロッパや他の国々のイランにおける経済的な利益を減らそうとしてきました。5月8日、アメリカは、核合意からの離脱を正式に発表し、2段階に渡る対イラン制裁の復活を宣言しました。
アメリカは、イラン産原油の輸出をゼロにし、さまざまな個人や企業のイランとの取り引きを禁じようとしています。これは、各国の利益を損なうことを意味します。まずはこの問題からお話ししましょう。
先週、イラン駐在のオーストリア大使が、イランへの輸出の減少に関するヨーロッパ企業の損失を明らかにしました。シュルツ大使はこれについて次のように語っています。
「EUはこれまで、イランの市場への輸出の減少により、およそ100億ドルの損失を蒙った」
シュルツ大使はさらに、「EUは、イランとの関係を強化し、イランからの原油の輸入を続けようとしている」としています。
イギリス大使館のウェリングス商務官は、イルナー通信のインタビューで、アメリカが核合意から離脱した後のイランとの協力継続に関するイギリスの政策について、「イギリスは、イランとの協力を拡大するための最良の方法を探っている」と述べました。ウェリングス商務官は、「建設的な協力の継続は両国の利益になる。協力を継続する上で最大の問題は、銀行の問題であり、対策を講じる必要がある」と語りました。
こうした中、EUのモゲリーニ外務安全保障政策上級代表は、アメリカの制裁によるヨーロッパ企業の損失を償い、この問題に関する裁判所の決定を無効にできるようなブロッキング規制を導入したと語っています。
とはいえ、このようなヨーロッパの行動は、イランの期待に十分に応えるものではありません。原油の輸出の継続、銀行関係の維持、運輸、貿易協力、中小企業の投資への支援、これらは、明確にされるべき問題です。ヨーロッパ3か国の提案は、金融取引、運輸、原油の輸出といったイランの要求が考慮されているものの、さらなる検討が必要になっています。
イランのローハーニー大統領は、核合意を維持するためのヨーロッパの提案は失望するものだったとし、「イランのEUに対する期待は、時期を定めた明確な具体的計画が提出されることだ」と語りました。
アメリカは、世界の反対や批判をよそに、イランと各国の経済協力の停止に向けた圧力を続けています。ドイツの内務大臣は、先週、CNNニュースのインタビューで、「ドイツはこの問題において、国益に基づいて行動し、インドにもそうすることを望んでいる」と語りました。また、「アメリカの制裁の影響を減らすため、金融メカニズムを構築する取り組みが必要だ」としました。
イランは大きな可能性を有しており、この可能性を利用することで、地域や国際レベルで経済関係を拡大することができます。鉄道網や製品の輸送ルートの利用は、イランの近隣諸国との経済関係において貴重な機会となっています。
イランのアスギャリー税関総局長は、先週、テヘランで、国際道路運輸連盟のデプレット事務総長と、イランとヨーロッパのトランジット拡大に関する新たな計画について話し合いました。デプレット事務総長は、「ヨーロッパは常に、イランの税関との協力において、最高の結果を得てきた。その成功例が、トランジット手続きの際の国際道路運送手帳(TIRカルネ)の適用である」と語っています。
アゼルバイジャンとインドがイランを経由して結ばれたこと、国際道路運送手帳がパキスタンとの間で適用されたことにより、近隣諸国はイランの税関政策を歓迎しています。先週は、イランとアゼルバイジャンの間で、税関に関する新たな合意が調印されました。
イランとアゼルバイジャンの税関局長、ナヒチェバン自治共和国の国会議長は、協議の中で、税関の問題の解消を急務とすることを強調しました。
イランとアゼルバイジャンの税関は、両国の観光や経済の振興において重要な役割を果たしています。ナヒチェバン自治共和国は、アゼルバイジャンの一部であり、1924年に自治共和国となりました。
鉄道運輸の分野では、イランと近隣諸国の鉄道網が拡大しています。イラン運輸インフラ開発会社の最高経営責任者でもあるハーデミー道路都市開発次官は、先週、イランとアフガニスタンの鉄道が、イラン暦の今年中に開通することを明らかにしました。この鉄道の長さは、イラン国内で76.8キロとなり、4つの駅があります。
この鉄道の建設により、鉄道によってイラン、アフガニスタン、中国を通るシルクロードが復活します。この鉄道はまた、地域やアフガニスタンの発展、ECO経済協力機構の加盟国の鉄道網の開発、中央アジア諸国の製品のインド洋やイランを経由したトルコとヨーロッパへの移送の拡大につながります。
イランとアフガニスタンの輸送網は、インドとの3か国による合意に沿って、チャーバハール港を経由して確立されています。この港は、アフガニスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタン、タジキスタン、キルギス、カザフスタンのなどの中央アジア諸国と国際水域を結ぶ最短ルートであり、戦略的な理由から重要になっています。
このプロジェクトの完成を目指し、テヘランの東にあるセムナーン州のギャルムサールと、イラン北部のゴレスターン州のイーンチェブルーンを結ぶ鉄道の電気化が、先月、イラン道路都市開発大臣と、ロシアの鉄道会社の関係者の立ち合いのもとで開始されました。
さまざまな報告によれば、イランの経済的な可能性は、地域の経済組織や各国の注目を浴びています。ここからは、この問題について見ていきましょう。
D8のクシャアリ事務局長は、先週、テヘランを訪問し、生産部門の協力・経済プロジェクトにおけるイランとの協力を求めました。この協議ではまた、イランの科学技術大臣と、この組織の国際大学のイランにおける開設方法について話し合いが行われました。
D8加盟国の大学は、加盟国間の大学の交流強化を目指し、今年の9月から来年の1月までに、イラン西部のハメダーン州に開設されることになっています。
D8は、1997年に創設され、イラン、トルコ、パキスタン、バングラデシュ、インドネシア、マレーシア、エジプト、ナイジェリアで構成されています。
D8の目的は、開発途上国の世界における地位の強化、社会、経済、学術面の発展、経済関係における新たな成功と多様性の実現などとなっています。