人権に関する西側のダブルスタンダード
西側諸国は、世界の人権状況に対する懸念を示すために、毎日、新たな報告を提出しています。
しかし、この報告はどれほど現実に近いのでしょうか、このような報告は、人権の遵守における各国の透明性に基づいて作成した証拠とみなすことができるのでしょうか。
西側諸国は、人権に関するダブルスタンダードに基づいて、他の国に対する判断を下しています。このため、人権に関するこのようなアプローチによって作成された報告は、現実的な評価が欠如しています。
カナダは常にアメリカやイギリスなどのほかの数カ国と共に、2003年からこれまで、イランに関する人権報告を発表し、決議を採択する上で、大きな役割を果たしてきました。イギリス外務省も、同じような措置を行い、年次報告を行う中で、疑わしい主張を行い、イランを人権侵害国だとしてきました。国連人権理事会のアフマドシャヒード特別報告者は、この数年間、イランの人権状況に関するいくつかの定期的な報告を提出してきました。
この政治的行動の目的とは、イランの人権状況が国際的な注目を浴びることです。この決議はイランに対して、人権に関して改善を行うよう要求しています。アメリカやカナダといった国によって出された決議提案は、イランを人権侵害国と非難しながら、一方でこれらの国では先住民などの人権が長年にわたり侵害されています。
西側諸国は、世界の人権状況に対する懸念を示すために、たいてい、一方的で偏った報告を根拠にしており、ダブルスタンダードな基準に基づいて、他国に関して判断を下しています。このため、この種の報告は、人権状況よりも、西側の目標の実現が目的となっているのです。
アフマドシャヒード人権特別報告者は、ここ数年、偽りの主張をもとに、偏った見解を持つ人物の表明を利用し、イスラム社会の価値観や宗教、文化を考慮することなく、報告を国連に提出しています。イランの法律では重罪とされている麻薬の密輸を行った人物の死刑執行は、アフマドシャヒード報告者のイランに関する人権状況に対する懸念のひとつとされています。
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アメリカ国務省も、繰り返し人権報告の中で、イランにおける死刑執行は懸念すべき問題だと主張しています。この人権を主張するものに対しては、他の国においては、これは罪とみなされないのか、社会の不安定化を追求している人物に対して、法によって対応し、裁くべきではないのか、市民活動家や黒人に対する弾圧や、常にイギリス、アメリカ、カナダで繰り返されてきた惨事は、人権上の懸念ではないのか、カナダやイギリス、フランス、アメリカでは、人種差別やイスラム排斥に関して、西側の人権という基準に基づいて訴追や審理を行うことができないのかと問いただすべきでしょう。
人権侵害を理由にイランに対して採択された決議は、この種の決議の作成と採択において、人権を超えた目的が優先して追求されるということを示しています。イランはイデオロギーの点からも、歴史、古代文明の点においても、人権の遵守に関して、透明な見解を持っています。イランは繰り返し、パレスチナやイラク、アフガニスタンなどの抑圧された人々の人権侵害について、無関心でいることはないと強調しています。
イランイスラム共和国憲法の条文を紐解いてみても、人権宣言に記載されている多くの条文や原則にイランが注目し、これを強調していることが分かります。イスラムの人権や国際法における用語や事例の多くでは見解の一致が見られます。もっとも、イスラムの指標に関する見解の対立に関しては、西側諸国の視点による人権規約で提起されるものとは、一連の相違点が存在しています。しかし、こうした見解の違いは、イランやイスラムの民法や法律において、人権や基本的な自由が注目されていない、ということを意味するものではありません。
イランの憲法では、多くの条項、特に第3章では、国民の権利というタイトルの下で、基本的な自由や権利について触れ、それを遵守することが必要だとされています。また、第6条など、多くの条項では、法や法的機関の前で国民は平等であり、また可能性の活用における平等や差別の撤廃について触れられています。
自由の権利も、イランの憲法では高く位置づけられています。第7条では、これに関して次のように記されています。「どのような地位(の者)であれ、どのような法を制定しても、独立や領土保全の名目で、合法的な自由を奪うことはできない」また、これに関する世界人権宣言の第1条では、次のように記されています。「全ての人は、自由を持って産まれ、権利や威信の点で平等である。理性と良心を持つ全ての人は、他人に対して同胞精神をもって接するべきである」
また、イラン憲法の19条にも次のようにあります。「イランの人々は、どのような民族集団に属していても、平等な権利を持っており、人種や肌の色、言語は特権を持つ理由にはならない」
イラン憲法の第20条では、次のようにあります。
「国民は、性別の違いなく、等しく法の庇護を受け、イスラム法を遵守した上で全ての人権や、政治的、社会的、文化的権利を享受する」 これは、世界人権宣言の第3項にも記述されており、この条項では全ての人が個人としての安全や自由、生存権を持っているとされています。
さらに、イラン憲法の37条にも、公正な裁判で有罪が確定しない限り、何人も犯罪者とされることはないと強調されています。さらに、世界人権宣言の4項では、次のようにあります。「何人も奴隷として扱われるべきではなく、人身売買はいかなる形であれ禁止される」。イラン憲法の56条にもこのことが強調され、次のようにあります。「人間や世界に対する絶対的な支配権を持つのは神であり、神は人間の社会的な運命を握っている。何人も、他人に対するこの神の権利を奪ったり、特定の個人や集団のものにすることはできない」
拷問や虐待の禁止についても、世界人権宣言の5項に、このようにあります。「何人も拷問や虐待、または抑圧、非人道的な行為、侮辱を受けてはならない」
さらにイラン憲法の第38条にも、「自白の供述や情報入手を目的とした拷問は禁止されている。自白や証言、誓約の強制は許されず、このような自白や誓いは信用性に欠けるものであり、この条文に反するものは法的な処罰を受ける」とされています。
世界人権宣言の第7項には、次のようにあります。
「皆、法の前では平等であり、差別を受けることなく平等に法の庇護を受け、この宣言に反する差別や、差別行為に対して、平等に法の保護を受ける権利を持つ」
そのほか、世界人権宣言の第18項では、「全ての人は思想と信教の自由を持っている」と語っています。イラン憲法でも、「政党や政治的団体、同業者組合、イスラム協会、宗教少数派の組織は、独立や自由、国民の団結、イスラム法やイランイスラム共和国憲法に違反しない限り、自由の権利を持つ」とされています。
これらのケースや、イラン憲法でも強調されているそのほかの内容は、イラン憲法の中で、世界人権宣言の基本的な条項が注目されていることを物語っています。確かに、憲法の一部の内容が完全に履行されていないことから、人権の内容に関して一部の問題点があるかもしれません。明らかなのは、どの国も、人権に関して問題や不がは存在しないとは主張できないことです。イラン司法府の人権本部も、人権状況の向上の分野において努力すべきだと考えています。このため、イランは、人権状況について定期的な報告を作成することには反対していませんが、人権問題が人権を主張する一部の西側諸国の政治的な目的達成の手段とされるべきではない、と強調しています。