視点;エマーディー解説員
イスラエルのガザ攻撃めぐるICJ判断 パレスチナの正義にとっての転換点に(動画)
ICJ・国際司法裁判所は、南アフリカが提訴したイスラエルによるガザ攻撃がジェノサイドにあたるとした訴訟で、イスラエルに対し暫定措置命令を出しました。
シオニスト政権イスラエルによるガザ攻撃は4カ月目に入ろうとしています。これによるパレスチナ人殉教者は2万6000人、負傷者は6万4000人を超えました。
南アフリカは昨年末、イスラエルをガザにおけるジェノサイドの罪でICJに提訴しました。26日、ICJは審理を経て最初の判断を示しました。この判断は以下の点で重要です。
第1に、イスラエルは法廷闘争で最初の敗北を喫したことです。なぜなら、イスラエルはそもそもICJが南アフリカの提訴を棄却することを求めていたからです。しかし、ICJは南アの訴えを審理に値するとし、提訴する権利を認めました。また、南アが提出した報告書についても論理的なものであるとの評価を下しています。
第2に、ICJは南アが訴えた「パレスチナ人に対するジェノサイド」という点についても審理に値すると判断しました。今回の判断で、17人のうち16人の判事が「ガザにおけるジェノサイドおよび物理的破壊行為を防ぐあらゆる措置をとるよう」命令しました。そして、ICJが「イスラエルの行為がジェノサイドに該当するかどうか」の判断は示さなかったものの、「パレスチナ人はジェノサイドから守られる権利がある」としました。
第3に、今回の判断でボールがイスラエル側に投げられたことになります。それは、ICJがイスラエルに対し、1カ月以内にジェノサイド防止やガザにおける人道状況改善に向けた措置に関する進捗状況の報告書を提出するよう命じたからです。
第4に、今回のICJによる暫定措置命令は、これまでイスラエルに課されてきた国連総会決議とは異なり、法的拘束力があります。そのため、イスラエルは与えられた1カ月という期間でどのように自らの措置を報告するか決断しなければなりません。
第5に、暫定措置命令は法的拘束力はあるものの、それを履行させるメカニズムをICJは持ち合わせていません。そのため、イスラエルは欧米などの支援を得て、暫定措置命令の履行を回避するおそれがあります。それは、イスラエルが以前、入植地建設の停止を求めた国連安保理決議2334を米国の支持を得て履行しなかったのと重なります。今回の暫定措置命令も無視すれば、イスラエルの国際的信用はさらに低下することになります。
第6に、今回のICJ判断が戦争が継続している最中に出されたことです。南アフリカの代表団は今回の判断をうけて、「ICJの暫定措置命令を歓迎する。これは法の支配の勝利であり、パレスチナ人の正義実現にとってひとつの転換点だ」とのコメントを出しました。ハマス幹部のアブーザハリー氏も今回のICJ判断を「シオニスト政権の孤立化と圧力強化にとって重要な出来事だ」としました。