今回はケルマーン・シャヒード・バーホナル大学です。

ケルマーン・シャヒード・バーホナル大学は、1975年、技師のアフザリープールとその妻ファーヘレ・サバーにより、イラン南東部のケルマーンに設立されました。この大学はケルマーンの南東部、非常に広大な敷地に建設され、1976年に90人の学生を受け入れ、活動を開始しました。

イランイスラム革命の勝利後、ケルマーン出身の革命の戦士の一人であったモハンマド・ジャヴァード・バーホナル師の名前を取り、ケルマーン大学はシャヒード・バーホナル大学と名称を変更しました。バーホナル師は1979年のイスラム革命後の第二代首相で、1981年、テロ組織モジャーヘディーン・ハルグによる爆弾テロによって殉教しました。

シャヒード・バーホナル大学の敷地は当初2万5千平方メートルで、5000人の学生を受け入れていましたが、現在は23万平方メートル、学生数は1万8000人に拡大しました。

現在、40年の歴史を有するケルマーン・シャヒード・バーホナル大学は、11の学部、5つの研究所などを持ち、学生はおよそ300の分野で学んでいます。さらに、この大学の修士・博士課程では少なくとも218の分野で学生を受け入れています。

現在、この大学には74人の教授、116人の準教授、356人の助教授、90人の講師、2人の講師助手がいます。大きな中央図書館、数々の実験所やインターネット設備、多くの教育・研究施設の存在と共に教育レベルの高さにより、毎年多くの学生が上級過程に進んでいます。

ケルマーン・シャヒード・バーホナル大学の創設からこれまで、多くの優れた人物が国際的に権威ある雑誌に理論を発表しています。例えば1994年、この大学の教授でイランの著名な数学者のラジャブアリープール博士が、専門誌、Integral Equations and Operator Theoryで科学界において非常に重要性のある理論を発表しています。

ケルマーン・シャヒード・バーホナル大学の教授、マフムード・モダッベル博士もペルシャ文学の分野で、数多くの著書を持ち、その著作はイランで権威ある作品として知られています。また同博士は、イラン国内の大学の権威ある賞も受賞しています。

イラン国内外で知られる化学者のモハンマドアリー・ターヘル博士も、ケルマーン・シャヒード・バーホナル大学の教授の一人で、192本の国際的な論文を発表しています。この教授は、国内外の権威ある化学賞を受賞し、現在、この大学の学長をつとめています。

お話ししたように、ケルマーン・シャヒード・バーホナル大学の傘下では、数多くの研究所やセンターが活動を行っています。

ケルマーン州はイランの最も広大な州の一つであり、多様な気候を有するとともに、様々な珍しい植物の多くが育つ可能性を有しています。ケルマーン州は、ピスタチオ、ナツメヤシ、クルミ、さらにはかんきつ類などの作物の最多の生産により、イランの園芸作物の輸出のトップとなっています。とはいえこうした可能性は、乾燥や塩害、寒暖といった様々な環境問題により、農業における新たな取り組みや最新の技術を必要としています。ケルマーン・シャヒード・バーホナル大学の園芸研究所は、こうした方向で研究を行っています。

イスラム・イラン文化研究所は、2000年にイランの古代言語と文化に関する学術研究を強化する目的で、ケルマーン・シャヒード・バーホナル大学に開設されました。こうしてこの研究所は、ケルマーン・シャヒード・バーホナル大学の文学・人文学部で活動を開始しました。

最新の統計によれば、2015年には、ケルマーン・シャヒード・バーホナル大学で1万8千人を超える学生が学んでいました。学生数の多い学部の順に、電子、開発、化学、機械、コンピュータの各工学となっています。この大学では工学系の学生が多くなっています。

この大学は、外国人留学生も受け入れており、2015年にはおよそ70人の留学生が学んでいました。地学、化学、開発工学、政治学の学部で学ぶ外国人留学生が多くなっています。

アフガニスタン出身の19歳の女子学生、アズィーゼ・アミーニーさんは、ケルマーン・シャヒード・バーホナル大学で応用数学を学んでいます。彼女はイランを宗教的な理由から、またこの大学をレベルの高さから選びました。彼女は数学に関心があり、アフガニスタンではこうした学問の専門家が重宝されるとしています。アズィーゼさんは、この大学と教授のレベルを非常に高く評価しています。彼女は大学の設備に満足しており、とくに大学の財政支援などの各種支援は、学生たちにとって非常に大きな助けだとしています。