ペルシャ語ことわざ散歩(176)「一夜は千夜にはならない」
皆様こんにちは。シリーズでお届けしております「ペルシャ語ことわざ散歩」、今回は「一夜は千夜にはならない」ということわざをご紹介してまいりましょう。
ペルシャ語での読み方は、Yek shab hezaar shab nemi-shavadとなります。
このことわざは、日本語で言うと「今晩だけだから」といった表現に相当するかと思われますが、よい意味と悪い意味の両方がありますので、順番にご説明してまいりましょう。
まず、よい意味で使われる場合ですが、自宅にお客様が来てそのお客様と話が弾むなど非常に気に入ってしまい、お客様のほうでもう辞去したいという時に、もてなす側がその来客にもっと居てほしいと思うときに使われます。この場合は、「今晩一晩だけ泊まっていかれてもいいでしょう」、「あなたにもっとここに居てほしいんですよ」というような意味になります。
これに対し悪い意味で使われる場合ですが、例えば自分の良心の呵責に反して、本来はいけないとされているような行動に出る、特に夜の行動に走る場合、他人から忠告されたときに、自分の行為を正当化するために使われます。つまり、「今晩だけだからいいじゃないか」、「一晩だけやってしまっても、そのときだけで終わる。だから邪魔をせず黙っていてほしい」という意味合いになります。
前者の場合は問題ないかと思われますが、後者の場合は注意したいものですね。そうした行動に出る本人は仮に一晩だけ、そのときだけ、過ぎ去ってしまえばそれで終わり、さらには誰も見ていない、誰にもばれないから大丈夫だと思うかもしれません。しかし、自分のした行動の影響は後々まで自分の心身に残り、場合によってはその結果は他人にまで及ぶこともあります。
実際に、今こうして皆様にこのお話をさせていただくのも恥ずかしい限りで、自戒の意味を込めて申し上げる次第ですが、この表現を後者の意味で使わないよう、ひとかどの人間として常に自分を律することを忘れないように心がけたいものですね。それではまた。
この番組はIRIBイランイスラム共和国国際日本語通信パールストゥデイがお送りしています。